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値上げ交渉を楽にする3つのコツ【現役商社マンが解説】

値上げ交渉に行くと、顧客に露骨に嫌な顔をされるから精神的に辛い。うまくいかないから上司に詰められる。値上げ交渉なんてやりたくない。

こんな悩みを解決します。

こんにちは、しげぞうです。商社営業マンとして14年目になりました。

値上げ交渉って嫌ですよね。やりたくないですよね。僕も以前はそうでした。値上げ交渉がある日は、それだけでその日一日が憂鬱でした。

でも、考え方のコツを掴んでからは苦じゃなくなりました。むしろ、いまや半分ゲーム感覚で楽しんでいるくらいです。

本記事では、現役の商社営業マンの僕が体得した「値上げ交渉を楽にするコツ」をお伝えします。きっと、これまで苦手だった値上げ交渉が苦じゃなくなるので、ぜひ最後までご覧ください。

それではいきましょう。

値上げ交渉を楽にする3つのコツ

値上げ交渉のコツは、以下の3つです。

  • 「売らない選択肢」を持つ
  • ベストとワーストを決める
  • 顧客に憑依する

順番に説明していきますね。

「売らない選択肢」を持つ

日本の商習慣では、依然として買い手が圧倒的に強い立場にあります。

なのでついやってしまいがちなのが、相手のご機嫌を伺う、常にへりくだっている営業マンに成り下がってしまうことです。

しかし、本当はビジネスパートナーとしてあくまで対等な関係です。このマインドセットは重要です。

「絶対に買い続けてもらわなければならない」は幻想

売る側にも「売らない自由」があります。

究極、価格を受け入れてもらえないなら「供給停止」という手があります。

ただいきなりそのカードを使うと信用をなくすので、どのタイミングでそのカードを切るかは、慎重にいきましょう。

「供給停止」というカードがあることを相手に認識してもらうことだけでも、かなり有効です。

交渉にあたっての優先順位を明確に

その顧客との交渉するにあたって、成果の優先順位をどう置くか。これをきっちり上司と合意しておきましょう。

  • 取引の継続
  • 利益の改善
  • 関係性の強化

などなど。

場合によっては、”撤退するために値上げする”ということだってありえます。

どれを最優先にして、どれは捨てても構わないのか。これを上司と合意して方向性を合わせておくだけで、かなり精神的に楽になります。

もし「全部大事だ!それをうまくやるのがお前の仕事だ!」と言われたら、「ではお手本を見せてください」と言って、同行してもらいましょう。

交渉がうまくいけばやり方を目の前で学べますし、うまくいかなかったら、上司もそんな無茶なことは言わなくなるでしょう。そもそも、優先順位をつけられない上司は無能です。

すべてが「絶対に負けられない戦い」では疲弊する

とはいえ、「どんな無理難題でもまとめあげるのが営業の仕事だろ!」というメチャクチャな風潮は依然としてあります。

まずは勇気をだして、この空気を自ら打破しましょう。それさえ突破すれば、全然楽になります。最初は抵抗することに勇気がいるかもしれませんが、最初の一歩さえ踏み出せばあとは余裕です。

ベストとワーストを決める

値上げ交渉における最高の結果とはなんでしょうか?
最悪の結果とはなんでしょうか?

これに即答できないようであれば、絶対にうまくいきません。

交渉のゴールを決めよう

ベストとワーストを決めることは、その交渉のゴール設定をするということです。

つまり、この範囲に収められればOKということ。

ベストな結果とは、例えばこんな感じ。

  • こちらの希望する価格で合意
  • こちらの希望する適用時期で合意
  • 相手との関係性を維持

ワーストな結果とは、例えばこんな感じですかね。

  • 他社に転注される
  • 値上げが受け入れられず、赤字で受注し続ける
  • 値上げはできたが、相手との関係性が悪化

これらはゴール設定によって変わってきますが、まずはこれを定義づけすることが大事です。そして、上司や関係者と合意しましょう。

「この範囲に収めればOK」というラインを明確にすることで、自分の裁量権が生まれますので、精神的にかなり楽になります。

もし、「とにかく提示した条件で合意してこい!」と言われたら?

それはもはや交渉ではありません。一方的な通達です。

なので、その場合は成果が約束できないことをきっちり伝えましょう。

交渉は、双方の合意を目指すコミュニケーションです。通達を行うとビジネスがなくなる可能性が高い旨をあらかじめ伝え、なくなる覚悟を決めてもらいましょう。

そうしておくことで、うまくいかなかった場合の保険にもなります。うまくいけばラッキーだし、たとえ失敗したとしても咎められることはありません。

顧客に憑依する


とにかく徹底的に顧客の立場になって考えることです。

「顧客に憑依する」はキングコング西野さんの言葉ですが、それくらい顧客になりきることが大切です。

もう少し具体的にいうと、顧客を「組織ニーズ」と「個人ニーズ」に分けて考え、それぞれに対してアプローチしていきます。

組織ニーズと個人ニーズの違い

組織ニーズとは、その名の通りその会社・組織自体が求めていることです。

例えばこんな感じ。

  • コスト削減したい
  • 信用できる会社と取引したい
  • 品質を上げたい
  • 情報を提供してくれる会社と取引したい

会社の掲げている方針に沿った要求なので、ホームページや中期経営計画などでも確認ができます。

一方で個人ニーズとは、対面でやりとりする担当者個人が求めていることです。

例えばこんな感じ。

  • 出世したい
  • 楽したい
  • めんどくさい仕事は増やしたくない
  • 周囲からもっと評価されたい

組織ニーズとは全く違いますよね。これだけ違いがあります。値上げ交渉をうまくすすめるには、両方のニーズを満たしてあげる必要があります。

まだ少しわかりにくいと思うので、具体例でお話していきますね。

例:「業績が悪いから、値上げは一切認めません」と言われた場合

よくあるケースですよね。

相手に様々な切り口から質問をしていき、組織ニーズと個人ニーズをひきだしていきます。取引や関係性があり、すでに情報をもっている場合はそんなに難しくないと思います。

こんなことがわかってきたとしましょう。

組織ニーズ

  • 供給の確保が最優先
  • 客先(顧客の顧客)に価格転嫁できるものはOK
  • 正当な根拠と理由があり、手続きを踏めばOK
  • サプライヤー(値上げ側)の言われるがままではNG

個人ニーズ

  • 社内の手続きがめんどくさい
  • 上司への説得が大変
  • 忙しい

わかりましたか?

このケースだと、「業績が悪いから値上げは認めない」はあくまで建前で、実際は担当者自身がめんどくさいからやりたくないだけ ということです。

つまり、ここを解決してあげればうまくいく可能性が格段に高まります。

これを踏まえた解決策はこんな感じ。

  • 社内手続きに必要な情報をヒアリングする
  • 社内説得用の資料を作成してあげる(値上げの根拠、妥当性、内訳など)
  • 相手にお土産をあげる(時期を後ろにずらす、値上げ幅を圧縮する。利幅の大きいほかの製品を値下げするなど)

ここまでやるの?と思うかもしれませんが、これが交渉です。

お互いが我慢するのではなく、協力しあって一緒に最適な着地点を目指す。

これができるようになると、交渉が一気に楽しくなってきますよ。

値上げ交渉は場数をこなすことでうまくなる

値上げ交渉は場数です。

数をこなすことで、相手がどうでてくるか。なんて言ってくるか。このあたりを落とし所にしたらうまくいくだろうな。という勘所がわかってきます。

値上げ交渉はたしかに億劫ですが、やらない限りは絶対に上達しません。みんながやりたがらないからこそ、うまくできる人に価値が生まれます。

ゲーム感覚で、ボスを攻略するイメージでやってみよう

失敗しても死にはしません。

自分なりに考えて最善を尽くした行動をしていれば、叱られることはあっても、クビになることはありません。

失敗を恐れずにチャレンジしましょう。

失敗した経験は、挑戦者だけが得られる財産です。

交渉の勉強に役立った本

最後に、コミュ障の僕が交渉の勉強に役立った本をご紹介します。

読書習慣のない僕でも読める、読みやすい本だけをピックアップしました。

2019年に亡くなられた瀧本先生の著書。
交渉の入門書としておすすめです。

同じく瀧本先生の著書。交渉についてだけでなく、20代・30代のこれからの生き方について考えさせられます。

交渉テクニックを余すことなく学べます。M&A仲介の話がベースになっていますが、他分野でも転用できる話ばかりです。

audiobook.jp聴き放題にも入っており、2倍速再生だと2時間かからずに聴き終えます。読書が苦手な方はオーディオブックでどうぞ。30日間の無料体験中に解約すれば無料で読めちゃいます。
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今回の記事は以上です。

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