商社営業がキツいってほんと?メーカー営業とは何が違うの?攻略するにはどうしたらいい?
こんにちは、しげぞうです。
こんな疑問を解決します。
本記事の内容
- 商社営業がキツい5つの理由
- 商社営業を攻略する3つのコツ
- 商社営業への転職はおすすめしない
「商社営業はキツい」と一般的によく言われています。じゃあ具体的に何が原因でそんなにキツいのか?
これについて、現役商社マンのぼくが10年以上見てきた経験から、主に商社営業とメーカー営業との違いの視点で解説しています。
本記事を読めば、商社営業がキツい理由と攻略するコツがわかるので、自分が商社営業に向いているかがわかります。現在商社営業として働いている方にとっても「自分は向いているのか?」のチェックとして使ってもらえれば幸いです。
記事の後半には、営業におすすめの転職サービスについても紹介していますので、「やっぱり自分には向いていないかも?」と思ったら、是非試してみてください。
それではいきましょう。
商社営業がキツい5つの理由
商社営業がキツいと言われる理由は以下の5つです。
- 利益率が低い
- 取扱商品の幅が広い
- 個人商店になりがち
- 商流問題が常につきまとう
- 顧客やメーカーから軽視されがち
順番に解説していきますね。
利益率が低い
商社は売上高営業利益率が低い。他の業種と比較するとこんな感じ。
- 全業種平均:3.5%
- 製造業:3.6%
- 建設業:5.0%
- 卸売業:1.6% ←商社
※出典:中小企業庁「令和2年中小企業実態 基本調査報告書」より(小数点第二位を四捨五入)
製造業と比べて約2倍違うので、営業観点からみると単純に約2倍の量を売らなければならないということ。その分、仕事量も必然的に増えるので、キツくなります。
売上高営業利益率とは?
「営業利益=本業での儲け」を示しています。なので売上高営業利益率とは「本業でしっかり稼げているかを示す指標」のことです。
計算式にするとこうなります。
- 営業利益率=営業利益 ÷ 売上高
- 営業利益=売上高 − 売上原価 − 販売費及び一般管理費
つまり、コスト(費用)をかけずに売上を上げていれば数値が高くなり、逆にコストが多くかかっていると数値が低くなります。
(原価だけでなく販売費などが多くかかった場合も、営業利益は下がります)
取扱商品の幅が広い
商社は様々なメーカーの商品やサービスを販売するので、メーカー営業よりも圧倒的に取り扱う商品の幅が広くなります。そのため、幅広い商品知識の習得が必要です。
メーカー営業ほどの深い知識は必要ありませんので、”広く浅く”というイメージですね。
担当する業界・顧客によって扱う商材が全然違う
担当する業界や顧客によって扱う商材がかなり違います。担当先が変わるだけで、イチから商品知識を勉強しなければならないこともザラにあります。
なので、常に勉強し続ける姿勢は必要ですね。
なお、どの業界・顧客を担当するかは完全なるガチャです。基本的に選べません。
業種や担当先によってハードさも全然違います。休日出勤や夜勤対応が常態化していて長期連休も毎回仕事のようなところもあれば、毎日定時退社のところもあります。
商社がキツいと言っているのは、このハードなところを担当した人たちですね。
事務作業も多い
東証一部上場などの大企業の多くは、自社にとって効率的な受発注管理システムを構築していることがほとんどです。
商社は顧客とメーカーの間に挟まれているので、この両方に対応する必要があります。自社の会計システムが他社の受発注システムと連動することは現実的に困難なので、これらへの対応は基本的にアナログ対応となります。
なので、いまだにFAXを利用したり、手書きで伝票類を発行したりといった非効率的な事務作業が大量に発生します。
個人商店になりがち
商社営業の場合、メーカーとは違いほとんどの業務を一人で行います。
- 調達先選定
- メーカーとの交渉
- 販売企画
- 営業活動
- 見積作成
- 顧客との交渉
- 在庫管理
- 売掛金管理・回収
などなど。これでもほんの一部ですが、伝票処理などの事務作業以外、売買に関わるものはすべてやるイメージですね。
メーカーだと「製造、調達、技術、企画、営業」などの分業体制ができていることが多いですが、商社の場合はそれをすべて一人で行うこととなります。(製造はありませんが)
だから、休日でも電話がかかってきて対応しなければならないことは正直あります。これが絶対に嫌という人は、商社営業はやめておいたほうがいいでしょうね。
商流問題が常につきまとう
インターネットなどの情報技術の発達や物流網の発展によって、商社不要論が近年とくに強くなってきています。実際、海外では商社の文化がなく、メーカー直接取引が一般的です。
日本でも大手メーカーは大口取引先(自動車メーカーなど)に対しては直接取引を行い、取引量が少ない顧客だけを商社経由で販売しているところもあります。
なので、その気になればメーカーも直接取引できる体制にあるので、商社はその恐怖と常に向き合わなければなりません。
つまり、顧客だけでなくメーカーの顔色も伺わなければなりません。これが商社の弱いところですね。
いつでも簡単に切り替えられてしまう
メーカーの場合は採用されれば必ず注文が来ますが、商社はそうとも限りません。
汎用品(市販品)は、今の時代どこからでも購入できます。
みなさんも「量販店で現物を確認して、Amazonと価格比較をして安い方から買う」といった方法をとりますよね。
これと同じように、一生懸命提案したものが相見積で他社にとられることは日常茶飯事です。
なので、ここに対しても何らかの対策が必要となってきます。
顧客やメーカーから軽視されがち
商社の場合、「モノ」というわかりやすい価値がありません。これが立場を難しくしています。
メーカーの立場からすると「顧客をしっかり捕まえていること」を商社の価値と考えていることが多いです。顧客との強固な関係性ができているということですね。
一方で顧客からすると、「メーカーへの影響力・交渉力」を期待していることが多いです。
ただ実際には、双方を満たしていることは稀ですので、周囲の期待と実態のギャップに苦しむことになります。
顧客から便利屋扱いされる
こんな感じなので、商社は顧客から便利屋扱いされる傾向にあります。無理難題を言われる一方で、困った時だけ声ををかけてくる”都合のいい存在”に陥ってしまうことさえあります。
ひどいところだと、まるで奴隷扱いしてくるところもありますね。とくに大口取引先の場合は、影響が大きすぎて担当者も断りきれないので、さらに大変です。
メーカーは、単なる手足程度に思っている
もちろん企業によって差はありますが、「代わりはいくらでもいるんだよ」というスタンスのところが多いですね。とくに会社同士の歴史が深く、距離感が近いメーカーほどその傾向があります。
「売れればどこからでもOK」という会社がほとんどで、“一緒に協力しよう“という考えの会社は少ないですね。
商社営業を攻略する3つのコツ
いろいろとネガティブな面ばかりお伝えしてきましたが、営業の楽しさでいうと商社営業のほうが確実に楽しいです。
メーカーは売るものが完全に決まっている一方で、商社は比較的自由に商材を選べます。(完全に自由というわけではありませんが…)
また、会社の歯車としての単純な売り子ではなく、顧客の困りごとの解決に貢献できるのでやりがいはあります。
ここからは、そんな商社営業を攻略するための3つのコツについて解説していきます。
思考を止めない
前述した通り、商社営業は仕事量が多い。
そのため、圧倒的な仕事量の波に飲まれて「思考停止」になってしまう人が多いのが実情です。
こういう人達は、顧客から言われたことをそのままメーカーに伝えたり、逆にメーカーから言われたことをそのまま顧客に伝える「伝書鳩化」してしまっています。
こうなってしまうと自分で判断しない癖がついてしまい、考えることができなくなってしまうので要注意です。
とにかく自分で考える
自分で考え、自分で判断し、思考を止めずに発言・発信し続ける。
するとだんだん話を聞いてもらえるようになり、発言権を得られるようになります。社内でポジションも取れるようになります。
そうすれば自分で仕事をコントロールできるようになってくるので、仕事も楽しくなり精神的にも楽になりますよ。
断る勇気をもつ
商社の場合、なかなか断りづらいのが実情です。
メーカーとは違い、「じゃあ他をさがして」と簡単に言われてしまいます。なので、”NO"が言えないといつまでたっても仕事は増えていくばかりで、忙殺されてしまいます。
”できない”と言いにくい中でも”NO"を言えるメンタルを作りましょう。「ここまでやったからもういいや」と、自分の中でラインをひく方法が簡単にはじめられるのでおすすめです。
力の入れどころを見極める
業務量が多いので、すべてに全力投球していると、肉体的にも精神的にももちません。すべての仕事が同じ重要度ということはありえませんので、業務の取捨選択をしましょう。
- 受注を優先する案件(もうけ度外視)
- 利益を優先する案件(もうけがすべて)
- 取れなくていい案件(むしろやりたくない)
このくらいはっきりと区別したほうが、進め方に迷いがなくなるのでおすすめです。
メーカー営業→商社営業への転職はおすすめしない
ぼくがこれまで見てきた経験からして、メーカー営業から商社営業への転職は正直おすすめしません。
周囲を見ていると、メーカーから商社へ転職してきた営業マンはみんな苦労しています。
おそらく要因はこんなところかなと。
- 売るものが決まっていない難しさ
- 即戦力としての期待値の高さ(知識・人脈など)
- 顧客・メーカーとの板挟み
- 顧客との接近戦(接待・距離感など)
逆に、商社営業からメーカー営業に転職した人は成功している人が多いですね。ほとんどの人が「楽勝」といってますし、給料も上がっています。
やはり、営業スキルとしては、メーカー営業よりも商社営業のほうが高いんでしょうね。
なので結論としては「商社営業への転職はおすすめしない」ということです。転職を検討するのであれば、同業界の別メーカーか他業種に転職したほうが良いと思います。
20代の営業職が転職活動するなら、これがおすすめ
「商社営業はやっぱり自分には向いてなさそうだから転職活動始めようかな」という方のために、20代の営業職におすすめの転職サイト・転職エージェントを紹介します。
数ある中からタイプ別に選抜しましたので、自分にあったものを選択してください。すべて登録無料なので、とりあえず全部登録しておいて様子をみるのもありです。
抜群の安心感
- リクナビNEXT
- リクルートエージェント
リクナビNEXT【公式サイト】https://next.rikunabi.com/
リクルートエージェント【公式サイト】https://www.r-agent.com/
業界最大手。とりあえずこれに登録しておけば間違いないですね。リクナビNEXTに登録することが転職活動のスタートと言っても過言ではありません。
20代はキャリアが浅いため、書類選考が通りにくい傾向があります。その対策としてエージェントを活用しましょう。エージェントを介すことで、通過率を上げられます。
地方向け
- マイナビ転職
- マイナビジョブ20’s
- マイナビ営業エージェント
マイナビ転職【公式サイト】https://tenshoku.mynavi.jp/
マイナビジョブ20’s【公式サイト】https://mynavi-job20s.jp/
マイナビ営業エージェント【公式サイト】https://mynavi-agent.jp/sales/
マイナビ転職は地方に強い印象の転職サイトです。UターンやIターンなど、地方での転職を考えているならマイナビ転職がいいでしょう。
20代に特化した転職エージェントがマイナビジョブ20’sです。あなたが20代なら、ひとまず登録しておいて損はありません。手厚いサポートがあるので、初めての転職に最適です。
マイナビ営業エージェントは、20〜30代の営業職に特化したエージェントです。とくに関東圏に強い。営業職として転職する予定なら、登録しておいたほうがいいでしょう。
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【公式サイト】https://doda.jp/
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リクナビNEXTが約9,000件なので、その約2倍の求人数を誇ります。
20代や第二新卒向けに強みがあるのも特徴です。合格診断があるので、試してみるだけでも面白い。他にもいろんな診断があるので、ぜひ試してみてください。
dodaは転職サイトですが、エージェントサービスもついています。求人情報は非公開求人が80%以上と言われているなか、エージェントサービスならこの中から紹介してくれます。職務経歴書の書き方、企業への推薦状、面接アドバイスなどの転職サポートもしてくれるので、積極的に活用しましょう。
自分の市場価値が知りたい
- ミイダス
【公式サイト】https://miidas.jp/
「転職活動はまだ本格的にするつもりはないけど、自分の現在地は知っておきたい」という人には、ミイダスがおすすめです。
簡単な質問に答えるだけで、おおよその自分の市場価値(年収)がわかります。自分の現在の年収が適切なのかどうかを確かめるのにも使えるので、参考程度でも利用する価値はありますよ。
会社の内部情報を集めたい
【公式サイト】https://www.vorkers.com/
- OpenWork
社風・風土・給与などが口コミとして多数掲載されています。退職者だけでなく、在職中のコメントもあるので参考になります。読んでいるだけでも面白いので、転職検討先の情報収集に向いています。
有事の際に備えて、いまのうちに動いておこう
激務で精神的に疲弊しているときには、転職サイトの登録すら億劫になって何もできない状態になります。なので、体力とメンタルにまだ余裕のある今のうちに登録だけでも済ませておきましょう。
というか今の時代、新卒入社でも入社と同時に転職サイトに登録しておいてもいいくらいです。常に外部の情報に触れて、自分の市場価値を把握しておいたほうがいいですね。
ちなみに、転職活動をはじめるなら、この本だけは読んでおいたほうがいいですよ。
転職と副業を活用して年収を倍々ゲームのように増やしていった、motoさんの転職方法が明かされています。「転職と副業のかけ算」は、転職を考える入門書として読んでおいて損はない一冊です。
今回の記事は以上です。