「また揉めた」
評価面談を終えて席に戻り、そう思ったことはないでしょうか?
伝えたのは事実だけ。感情的になったつもりもまったくない。なのに部下は黙り込み、空気は最悪。
夜になっても、あのときの部下の表情が頭から離れない。
翌週には再面談。
上長からは「ちゃんと納得させろ」と言われる。評価の話がいつのまにか、自分の説明責任の話にすり替わっている。
そして半年後、また同じ季節がやってくる。
面談の予定を見るだけで気が重い。何を言えば揉めないのか、何回考えても答えが出てこない。
——正直、しんどいですよね。
ご挨拶が遅れました。
こんにちは、しげぞうです。
私は上場企業の管理職として5年目を迎えました。
最初は本社が乗り込んでくるくらい崩壊寸前のチームでしたが、いまでは毎年のようにメンバーが社内表彰され、社内のロールモデルとして注目されるまでに成長しました。
でも、最初のころは部下とのフィードバック面談が本当に憂鬱でした。
冒頭の描写は、まさに私自身の実体験です。
できていないことを事実として並べただけで部下を泣かせてしまい、決着するまで数週間。
繰り返される再面談。
その間ずっと頭から離れず、仕事が手につきませんでした。
「伝え方を工夫しろ」と言われても困るんですよね。工夫すべきなのはわかっているから。
でも、自分なりにやった工夫が正解かどうかがわからない。毎回ぶっつけ本番で、外すと関係性が壊れる。
今思えば、むちゃくちゃハイリスクですよね。
そんなあるとき、私は気づきました。
「そうか、ぶっつけ本番じゃなくせばいいんだ」
そこで試してみたのが、面談前のAI壁打ちです。
話す予定の内容をAIに投げて、「これを言われた部下はどう感じるか」を先に聞く。
やったのはたったこれだけ。
指摘する事実は一切変えず、AIのフィードバックをもとに順番と言い回しを直しただけです。
それでも実際の面談は30分で終わり、対立ではなく建設的な意見交換の場に変貌しました。
「なんだ、AIに人間関係を丸投げするのか」
そう思われたかもしれません。
でも違います。
決めるのも話すのも、あなた自身なんです。
AIにやらせるのは、自分の言葉を相手の側から一度見てみることだけ。
なぜそれだけで結果が変わるのか。
これから順番にお話ししていきますね。
悪いのは相性ではなく、準備不足
結論から言います。
面談がこじれる原因は、あなたの性格でも、部下の受け止め方の未熟さでもありません。
本番前に一度も検証していない言葉を、いきなり本番で使っていることです。
考えてみてください。
取引先への大事なプレゼンなら、資料を見直しますよね。一世一代の役員報告なら、想定問答を作りますよね。
なのに部下との面談だけは、頭の中で描いた草案をそのまま口に出していませんか。
部下のキャリア・人生に関わる、一番デリケートな話をするにもかかわらず、準備をしていない。
そりゃ、こじれて当然です。
事実を並べただけなのに、なぜこじれるのか?
私が失敗した面談を振り返っても、話した内容自体は決して間違っていませんでした。
全部、記録に残っている事実です。
でも、できていないことを連続で並べられた時点で、相手が受け取るメッセージはこう変わっていたんです。
「改善点が3つある」→「自分は否定されている」
こうなると、相手の中では改善なんて関係なくなり、自分を守る話しかしなくなります。
そのあと何を言っても届きません。褒め言葉を足したところで、「フォローが入ったな」と思われて終わりです。
指摘の中身は関係ありません。
否定が積み上がれば、人は必ず防御に入ります。
さらに厄介なのは、話している側にはこの変化が見えないこと。
自分は冷静に事実を述べているのに、相手はもう聞いていない。
このズレに気づかないまま、上司は「ちゃんと伝えたのに伝わらない」と消耗していきます。
ズレを放置すると、失うのは時間だけではない
この状態を放置していると、どうなると思いますか?
- 再面談・評価の再説明・上長への報告で、さらに使える時間が消える
- 部下が本音を出さなくなり、現場の情報が上がってこなくなる
- 最終的にその部下が辞め、あなたの責任が問われる
面談は一度こじれると、その場では終わりません。
・再面談
・評価の再説明
・上長への報告。
私の場合は、ただでさえ忙しい年度初めに、これで実働数日分が消えました。
しかも精神的な消耗は、他の業務をやっている時間にも影響を及ぼします。
もっと重いのは、部下が本音を出さなくなることです。
「この人に相談しても否定されるだけ」
こう判断された瞬間、現場の情報はあなたのところに上がってこなくなります。
トラブルの発覚が遅れ、手遅れの状態で報告が来て、マネジメントが崩壊します。
そして最終的に、その部下は辞めていきます。
退職面談で「上司との関係」が出れば、槍玉に上がるのはあなたです。
当時の指摘が正しかったかどうかは、誰も考慮してくれません。会社は結果で見ます。
こんなふうに、最終的にはあなた自身に火の粉が飛んでくるので、火が大きくなる前に対処すべきなのです。
解決策は「話す前に、相手側から自分の言葉を見る」

やることはたった1つ。
面談で話す予定の内容をAIに投げて、「これを言われたら部下はどう感じるか?」を先に聞く。
これだけです。
所要時間はたったの5分。
伝える中身は変えなくてOK。評価を甘くするわけでも、指摘をやめるわけでもありません。
変えるのは、順番と言い回しだけです。
でも、これを自分の頭だけで考えるのは意外と難しい。どうしても感情や先入観が入ってしまう。
だから、AIを使うんです。
私が実際に使ったプロンプトは以下。
「前提」「役割」「目的」「内容」の4つを入れるだけ。
上記は例ですので、実態に合わせて内容は書き換えてください。
過去の評価面談の記録など、背景がわかる資料があれば添付すると、さらに精度が上がります。
なお、部下の氏名や個人が特定できる情報は入力しないでください。「入社4年目の部下」「納期遅れが3回」のように、事象だけを書けば十分に機能します。会社によっては外部AIサービスの利用に制限がありますので、そこは事前に確認しておきましょう。
実際に返ってきた回答が、これです。
部下の立場なら、率直に言って、かなり防御的になりやすい伝え方です。
「納期を3回遅れている。報告も遅い。同僚からの評判が悪い」とまとめて言われると、私はまず「結局、あなたは仕事ができていない、と言われているんだな」と受け取ります。
特に反発したくなるのは「同僚からの評判が悪い」の部分です。誰が何を言ったのかもわからず、行動ではなく人格を評価されていると感じます。
提案としては、伝えたい核心を「お前は評判が悪い」ではなく「納期と報告の仕方を変えてほしい。そのために原因を一緒に整理したい」に置き換えることです。
あわせて、部下側に反論の余地を残してください。「3件のうち、この1件には事情があります」と言える余地があるだけで、「最初から結論を決めつけられている」という感覚が減ります。
おっしゃるとおり!
言われてみれば当たり前なんですが、なかなか自分では気づけないんですよね。
同じ内容でも、長期戦にも建設的な議論にもなる
このフィードバックを受けて、私が実際に面談で言ったのはこうです。
「期日について認識をすり合わせたい。3件遅れているけど、原因が抱え込みなのか、優先順位の判断なのかで打ち手が変わる。どっちに近い?」
指摘した事実は同じ。3件の遅れも、そこが課題であることも、一切ぼかしていません。
違うのは、相手が答えやすい質問の形にしたことだけ。
以前だと2時間。下手すると半日丸々かかることもザラでしたが、このときの面談は30分で終わりました。
部下からも「相談していいか迷っていた」という話が出てきて、こちらが把握していなかった負荷の偏りも判明しました。
泣かれることも、揉めることもありませんでした。
繰り返しになりますが、変えたのは中身ではありません。
話す前に一度だけ、相手側から自分の言葉を眺める。
たったそれだけです。
なぜ今まで、この準備をしていなかったのか?
理由は単純で、練習相手がいなかったからです。
面談での言い方って、誰かに相談するのは気が引けませんか?
上長に相談すれば「そのくらい自分で考えろ」と言われそうだし、同僚に部下の評価内容を話すわけにもいきません。
結果、みんなぶっつけ本番でやっているのが現実でした。
でも、いまはAIがあります。
相手の反応を、本番前に何度でも試せる。気まずさもありません。
しかも、無料で始められます。
これは使わない手はないですよね。
今日からできる実践ステップ
- 次の面談で伝える内容を、箇条書きで書き出す
- プロンプト(前提・役割・目的・内容)に貼り付けて、AIに投げる
- 指摘された箇所の順番と言い回しを直す
- 不安なら、AIに部下役をさせてロールプレイする
ぜひ試しにやってみてください。
AI壁打ちが効くのは、面談だけではない

この「AI壁打ち」が効くのは、言い方ひとつで結果が変わる場面すべてです。
- 言いにくい指摘のメール
- 合意を取りたい会議での切り出し方
- 上長への反論
- 異動の打診
全部、相手側から自分の言葉を見てから出せます。
ここまでできるようになると、次はこんなことが気になってくるのではないでしょうか。
「どの用途なら、どのAIを使えばいいのか」
「どう指示すれば、実務で使える答えが返ってくるのか」
「どの業務なら任せられて、どこは自分で判断すべきか」
このあたりはYouTubeにも解説動画がたくさんあるので、無料で勉強できます。
ただ、無料の情報は断片的です。
「面談の壁打ち」「議事録の要約」といった単発のテクニックは手に入りますが、それを自分の業務全体にどう組み込むかまでは教えてくれません。
そして、どの動画が自分に必要なのかを判断するために、また時間を使うことになります。
最短距離で身につけたいなら
「悠長に勉強している時間がない」
「回り道をせず、最短距離で走りたい」
そう感じたなら、体系的に学べる環境を用意したほうが早いです。
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まとめ|変えるのは中身ではなく、順番と言い回しだけ
最後に、本記事の内容を整理しておきます。
- 評価面談で揉める原因は、相性ではなく準備不足
- 否定を並べた時点で、相手は改善ではなく防御に入る
- 放置すると、時間・情報・人を失い、最終的にあなた自身が割を食う
- 話す前に一度だけ、相手側から自分の言葉を眺める
- 変えるのは中身ではなく、順番と言い回しだけ
誤解のないように言っておきますが、これは部下の機嫌を取るのが目的ではありません。
厳しいことを言わずに済ませる方法でもありません。
評価者であるあなた自身が、評価シーズンのたびに消耗する状態から脱出すること。
これがが本記事の目的です。
指摘は同じようにします。
ただ、こじれない形で言う。
それだけで再面談も上長への釈明もなくなり、面談前の憂鬱も消えます。
部下のためではなく、あなた自身のために。
まずは次の面談の5分前からぜひ試してみてください。