「顧客の課題を明らかにしろ」って会社から言われるけど、どうしたらいいかわからない。顧客に質問するときのコツが知りたい…
こんにちは、しげぞうです。商社営業として14年目になりました。
こんな悩みを解決します。
「御社の課題を教えて下さい」
もしかして、こんな質問をした経験はありますか?
これは最悪の質問です。
まずまともな答えは返ってきません。「こいつ無能だな」と思われてしまうだけです。
会社から「顧客の課題を明らかにしろ」と言われて、思考停止でそのまま相手に質問していたとすると、こんなに無意味なことはありません。
なぜなら、多くの顧客は自社(自分)の課題に気づいていないからです。
本記事では、現役商社マンの僕が時間をかけて体得した「良い質問のコツ」を解説しています。これを理解すれば、顧客ニーズ・課題の引き出し方がわかり、営業が楽しくて仕方なくなります。
ぜひ最後までお付き合いください。
それではいきましょう。
相手の課題を引き出す「良い質問」の3要素
「良い質問」とはなにか?
それは、「質問をうけた人が新たな気づきを得られる質問」です。
これができる人だけが顧客の課題、そして真のニーズにたどり着くことができます。
とはいっても、そんなに難しくはありません。良い質問の構成要素を知れば、だれでも実践できます。
良い質問の3要素
- ギャップ分析
- 時系列
- 5W2H
この3つの軸を埋めていくことで、“顧客の課題(やるべきこと)の立方体“を一緒に作り上げていくイメージです。
こんな感じ。
では順番に解説していきます。
①:ギャップ分析
ギャップ分析によって、顧客の課題の”高さ方向”を明らかにします。
- あるべき姿
- 現状
- 問題
この3つの観点から質問することで、相手の課題の全体像を把握できます。
あるべき姿とは、「目指す姿」「目標」とも言い換えることができます。つまり、目指している理想像ですね。
現状とは、現在のありのままの状態です。すでに保有しているものや能力・環境などのことです。
そして問題とは、”あるべき姿”と”現状”のギャップ(乖離)のことです。
よくやりがちなのが、現状を”〜がない””〜が不足している”と表現してしまうこと。これは誤りです。「それをすでに保有している状態」が前提になってしまっているので、それは現状ではなく「問題」となります。
ここで特に重要なのが、”あるべき姿(=ゴール)”を明確にすること。
これが明確でないと、いつまでたっても”満足”してもらえません。ゴールがないマラソンは、ただの拷問でしかないですよね。
②:時系列
時系列を把握することで、顧客の課題の”幅”を明らかにします。
- 過去
- 現在
- 未来
この3つの時間軸でどうだったのかを確認します。
これによって、顧客の変化点を把握することができます。
- いままでどうしていたのか?(過去)
- いまはどういう状態なのか?(現在)
- これからどうしたいのか?(未来)
こんな感じですね。
変化点を把握することで、「顧客の物語」を追体験することができます。それによって理解を深め、より顧客に寄り添った思考ができるようになります。
③:5W2H
ビジネスコミュニケーションの基本とも言われている5W2H。これはどんな場面でも使える魔法の武器なのですが、意外とみんな見落としがちです。
この5W2Hによって、顧客の課題の”奥行き”を明らかにします。
- いつ(When)
- どこで(Where)
- だれが(Who)
- なぜ(Why)
- なにを(What)
- どうやって(How)
- いくらで(How much)
とくに重要なのが「なぜ」ですね。トヨタでも「なぜを5回繰り返せ!」と言われているように、これを繰り返すことで問題の本質により近づけるようになります。
例題:iPhoneのSDカードリーダーが欲しい
抽象論だけだとわかりにくいと思うので、具体例で解説していきます。これは実際に友人から相談されたときの話です。
iPhoneのSDカードリーダーが欲しいんだけど、どれがおすすめ?
単純にこの質問にそのまま直球で回答すると「Apple純正のSDカードリーダーがいいと思うよ」となります。
しかし、この人が”SDカードリーダーでなにをしたいのか”が明確でないので、この提案が最適なのかどうか怪しいですよね。
そこで、これまでお伝えした「良い質問の3要素」を使って質問していくと、こんな感じになります。
ギャップ分析
- あるべき姿
→ライブ配信するときのバックミュージックを、Bluetoothスピーカーで流せている - 現状
→テレビでYou Tubeを流して、バックミュージックにしている - 問題
→You Tubeは広告が入るので、ライブ配信中のノイズになる
この人の目指している姿・やりたいことが明らかになりましたね。
もうこの時点でおわかりかと思いますが、SDカードは単なる“手段“です。目的は「快適なライブ配信環境を手に入れる」ことなので、別にSDカードにこだわる必要はありませんよね。
時系列
- 過去
→いままではテレビでYou Tubeをバックミュージックとして流していた - 現状
→Bluetoothスピーカーをもらったので、iPhoneからSDカードに音楽を入れて再生しようと考えている - 未来
→キレイなサウンドをバックミュージックとしてライブ配信がしたい
この人がSDカードを欲しいと思うようになった物語がわかってきましたね。
5W2H
- いつ欲しい?
→特に急いではいないが、1週間以内を目処にできるようにしたい。 - どこで使う?
→自宅で - だれが使う?
→自分が - なぜ欲しい?
→ライブ配信のときのノイズをなくしたい - なにをしたい?
→Bluetoothスピーカーで好きな音楽を流したい - どうやって?(どんな使い方?)
→ライブ配信のときのバックミュージック - いくらで?
→※割愛(予算など)
こんな感じになります。
ちなみに、このときの最終的な結論は「SDカードは不要」でした。
- 所有している古いiPhoneをAppleMusicにつなぎ、Bluetoothスピーカーで流す
- メインのiPhoneでライブ配信をする
この方法で解決できたので、費用はゼロ。しかも即日実現できたので、本人にも喜んでもらえました。
こんなふうに、ビジネスの場面だけでなく部下・同僚・友人・家族への質問にも使えるので、かなり有用です。しかも相手に共感の意思が伝わるので、人間関係も良くなる効果があります。
顧客と「共通課題」を形成すれば勝ち
いかがだったでしょうか?
おさらいです。
「良い質問」の3要素
- ギャップ分析
- 時系列
- 5W2H
良い質問をすれば、顧客の課題を明らかにできます。あとはそこに向けてどうするか。
その課題に対して“顧客と一緒に“取組む意思を示して、合意する。
つまり「共通課題」を形成するということ。
これができれば、営業の仕事の80%は終了です。あとは成り行きで何とかなります。
共通課題を形成できれば、いち業者ではなく“パートナー“の立場になれるので、価格競争に巻き込まれにくくなります。
結果、受注確度も格段に上がり、利益率も上がります。
この共通課題については、また別の記事で詳しく解説したいと思います。
営業のおすすめ本
最後に、営業に役立つおすすめ本をご紹介します。
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今回の記事は以上です。